海外に出て最初に思い知ったのは、受験のときに詰め込んだ英熟語が一度も出番を迎えない、という事実でした。
代わりに飛んでくるのは、参考書に載っていない短い言い回しです。しかも速い。聞き返す前に会話は次へ進みます。
その悔しさを、そのままアプリにしました。Spokaといいます。2026年7月にApp Storeにリリース。記念すべき1つ目のアプリです。
現代はAIがとても発達したのでこうやって自分の力だけで非エンジニアでもアプリをリリースできます。
そっちの面も少し解説していきます。

覚えた英熟語は、現地で使われなかった
「使えなかった」ではありません。そもそも、向こうでは使われていなかった。
単語帳の後半に並んでいた重たい熟語は、日常会話にほとんど出てきません。耳に入ってくるのは、二語か三語で終わる短い言い回しと、句動詞と、その土地でしか通じないスラングです。文字で見れば全部知っている単語なのに、音になった瞬間に輪郭が消えます。
聞き返せばいい、というのは日本にいるときの理屈です。三回連続で「Sorry?」とは言いづらい。結局、わからないまま笑ってうなずく。あの時間が苦しすぎてたまらない。

覚える順番が逆でした。試験に出る英語から入るのではなく、自分が実際に出会った英語から埋めていくほうが、絶対に速い。
必要なのは分厚い単語帳じゃなくて、自分の失敗を貯めておく場所でした。
個人開発は、コードが書ける人の趣味じゃなくなった
副業として個人開発に手を出したのが、去年のことです。
僕は専業のエンジニアではありません。以前なら「アプリを作る」という選択肢自体が浮かばなかったはずです。今のAIは、そこの前提を丸ごとひっくり返しました。

Claude Codeに設計を相談して、コードを書かせる
開発のほとんどはClaude Codeとのやり取りで進みました。ターミナルの中でAIがファイルを読んで、書いて、動かしてくれる。僕がやるのは「こういう画面が欲しい」「ここの動きが気持ち悪い」と伝えることと、出てきたものを実機で触って判断することです。
技術の選び方も丸ごと相談しました。React NativeとExpoで作って、AI解析はサーバーを経由してGeminiに投げる。課金はRevenueCatに任せる。この構成を自力でゼロから調べていたら、たぶん半年は溶けていました。

個人開発で本当に要るのは、コードを書く力より「何が欲しいのかを言葉にできること」でした。ここだけは誰も代わってくれません。
作りたいものがある人にとって、技術より先に必要なのは「作っていいらしい」という感覚のほうだと思っています。
Appleの審査に2回落ちた。指摘はそのままAIに貼った
もちろん、スッと出せたわけではありません。
落ちた理由は、AIに文章を送る前の同意表示が無いこと。月額と年額のサブスクが別グループに分かれていたこと。説明文に利用規約のリンクが無かったこと。指摘は毎回ぜんぶ正当でした。コードのバグではなく、全部ルールの読み落としです。

Appleから届く却下通知は、ガイドラインの番号と短い英文だけ。読んでも「で、どのファイルをどう直せばいいの?」がわかりません。スクショしてそれをそのままClaude Codeに貼りました。どの画面に何を足すか、どのファイルをいじるかまで返ってきます。直して、また出して、落ちて、また貼る。その繰り返しで抜けました。

個人開発でいちばん心が折れるのは、たぶんコードではなくこの手続きの部分です。
自分で手を動かすしかない(AIではできない部分)が必ずあります。これができない人は開発はできません。全てAIに任せるのではなく自分で考えるところは自分でやる。これが大事です。
「なんか安っぽい」デザインの脱し方
審査を通しても、他のアプリと並べたときの違和感は消えませんでした。
言語化できない違和感もAIへ
「なんか安っぽい」。それ以上は言葉にできなかったので、スクリーンショットとコードを丸ごと渡して原因を出させました。返ってきたのは、センスの話ではありません。
文字サイズが22種類、角丸の値が23種類。画面ごとに、そのときのノリで数字を打ち込んでいたからです。マイ辞書も1行に枠付きのボタンが3つ並んでいて、22件表示すると枠だけで66個。主役のはずのフレーズと、操作ボタンの視覚的な重さが同じになっていました。
安っぽさの正体は、たいてい「揃っていない」だけ。それと余白の少なさです。
これで大体は「いい感じ」に見えます。
自分では絶対に見つけられなかったバグ
友人に渡したら、初日で報告が二つ来ました。「登録してない単語が勝手に増える」「ずっと解析中のまま終わらない」。どちらも僕の手元では一度も起きていません。
公開直後にAI解析が丸ごと止まったこともあります。原因はサーバー側の無料プランが「一週間アクセスが無いと自動停止する」仕様だったから。審査待ちで誰も触っていなかったせいです。正直、血の気が引きました。

人に渡すまで、バグは存在しないことになっている。個人開発でいちばん怖いのは、そこだと思っています。
Spokaができること
使い方は、ほぼこれだけです。マイクボタンを押して、聞き取れなかった表現をそのまま声に出す。キーボードで打ち込んでも構いません。だいたい3秒で終わります。あとはAIが、訳とニュアンス、例文、似た言い方までまとめて返してくれます。
たとえば piece of cake。直訳は「一切れのケーキ」ですが、返ってくるのは「めちゃくちゃ簡単」という意味と、どれくらい砕けた場面で使う言葉なのか、実際の例文、言い換えの候補。辞書で調べてメモするというのが1/10で完了します。
そして自分だけのオリジナル辞書が完成します。

保存ゼロの初日でも手持ち無沙汰にならないように、留学の現場で実際に飛び交う400フレーズを最初から入れてあります。空港、入国審査、寮、授業、カフェ、バイト先、友達との雑談、スラング、句動詞。場面ごとに選んだものです。

貯めた表現は、英語を見て意味を4択で選ぶクイズと、リング綴じの紙っぽいフラッシュカードで復習。間違えたものは、忘れかけた頃にまた出てきます。
自分が本当に欲しいと思ったアプリに仕上げることができました。

優れているところ① 辞書を引くより速いから、会話が止まらない
一番こだわったのは、入力をどこまで軽くできるかでした。
辞書アプリを開いて、スペルを推測して、打ち込んで、候補から選ぶ。終わる頃には会話は二つ先の話題に移っています。調べる行為そのものが会話のブレーキになる。ここを壊さないと意味がないと思いました。
だから入口を声にしました。相手に「one more please」と頼んで、マイクをオンにしてそのまま拾う。綴りがわからなくても、耳に残った音を口に出せば記録できます。調べる作業を後回しにして、記録だけ先に済ませてしまうという発想です。
これが、地味に効きます。その場で理解しようとするから会話が止まるだけで、貯めるだけなら一瞬で終わるので。

優れているところ② 訳で終わらない。
辞書が教えてくれるのは意味です。困るのは、たいてい意味じゃないほうでした。
どれくらい砕けた表現なのか。目上の人に使っていいのか。断り文句なら、どれくらい冷たく響くのか。take a rain check を「また今度にしてもらう」と覚えただけでは、口に出す勇気は出ません。使っていい場面がわからないからです。

SpokaのAIは、そこを含めて返します。訳、ニュアンス、例文、似た言い方。ひとつの表現を、使える形まで持ち上げてくれる。ここが、単語帳アプリと決定的に違う部分だと思っています。
英会話に特化したアプリなのです。
しかも貯まっていくのは、自分が実際に詰まった表現だけ。誰かが決めた「重要度A」ではありません。
「単語帳は配られるものじゃなくて、自分で作るものだった」
これに気づいたのが、このアプリを作った理由のほぼ全部です。
学生時代にペラペラめくる単語カードは自分で作成しませんでしたか?あれと同じです。

洋画とドラマで英語を勉強している人にも
留学やワーホリの人を思い浮かべて作りましたが、実際に一番相性がいいのは別かもしれません。
海外ドラマや洋画で英語を勉強している人です。気になる台詞が出てきたら、そこを少し巻き戻して再生して、スピーカーから流れる音声をSpokaに拾わせる。字幕を一時停止してスペルを打ち込む必要がありません。

オンライン英会話で言えなかった一言を、レッスン直後に放り込むのもおすすめです。悔しさが冷めないうちに入れたものは、ちゃんと残ります。
完全無料ではない理由
Spokaは、完全無料にできませんでした。
AI解析は一回動かすたびに、僕のところに実費がかかります。ユーザーが増えるほど負担も増える構造なので、無料で無制限に配ると、続けること自体ができなくなる。ここは隠さずに書いておきたいところでした。
ダウンロード自体は無料です。AI解析も月10回までは無料で使えます。10回試して、自分に必要なアプリか判断してもらえればと思っています。
制限なく使いたい場合は Spoka Pro へどうぞ。月額980円、年額7,000円(月あたり約583円)。AI解析が無制限になり、広告も消えます。月あたり400円近く変わるので、続ける気があるなら年額のほうが素直です。

参考書を一冊買うのと、どっちが自分に残るか。そこで比べてもらうのが、いちばんフェアだと思っています。
留学に行く前の自分に、これを渡したい
いかに楽に記録して、いかに自分だけの英語帳を育てるか。そこだけを考えて作りました。英語が話せるようになる魔法のアプリではありません。詰まった表現を拾って、忘れる前にもう一度出す。やっていることは地味です。その地味な往復を、続けられる重さまで削ったつもりです。
対応はiOSのみで、iPhoneならiOS 15.1以降で動きます。Androidは、希望があれば実装予定です!

受験のときに詰め込んだ英熟語は、結局ひとつも出番を迎えませんでした。次に海外へ出るときは、あの参考書ではなく、自分で貯めた400フレーズを持っていくつもりです。
興味が湧いた人は、こちらからダウンロードしてくれると本当に嬉しいです。
▶ Spoka 留学英会話・英単語帳・AI解説 をApp Storeで見る
使ってみて「ここが使いにくい」と思った部分は、遠慮なく教えてください。作っているのは僕ひとりなので、届いた声はそのまま次のアップデートに入ります。











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